技術を学べば地方でも収入を得られる。施術の実績がたくさんあり、自分にも開業できる。そうした期待を高める広告の先で、高額なショッピングローンを組み、年収まで実際より多く書くよう求められる。私たちは、美骨小顔協会をめぐる被害の問題を、契約時だけの出来事として切り離してほしくありません。

川崎美和(下寺美和)氏が代表理事を務める一般社団法人美骨小顔協会の勧誘と広告は、何を根拠にしていたのでしょうか。そして、似た仕組みを使って事業を広げ、倒産に至った企業や、その関係者とどのようにつながっていたのでしょうか。受講者、顧客、現場で働く人の立場から、私たちはこの二つの問いに説明を求めます。

Instagramの売上例と、説明されていない費用

川崎氏のInstagramでは、美容の仕事を始めたい人に向けて、サロンの開業や売上に期待を持たせる発信が繰り返されています。開業費用がまったくかからないかのように受け取れる内容や、地方でも月商300万円を超える店、年商2,000万円を超える店があるとする案内です。美容業界に関心を持って都市部へ出てきた若者や、地方からスクールへ通おうとする人にとって、無視できない数字です。

しかし、売上はそのまま手元に残る収入ではありません。サロンには、広告費を含む継続的な運営費がかかります。飛び込みでの来店はほとんど期待できないという声がある中で、集客に必要な費用を十分に示さず、技術さえ身につければお客が集まるように受け取らせていないでしょうか。私たちは、開業費用と毎月の支出を省いた成功の説明に疑問を持っています。

月商や年商を根拠に受講を勧めるのであれば、対象となる店舗、いつの実績か、広告費や家賃、人件費を差し引くとどうなるのかを示してほしいと思います。一部の売上例があることと、受講した人が同様の収入を得られることは別です。高額な受講料を払う人が知りたいのは、自分の生活が成り立つ見通しまで含めた説明です。

同じ成功例を、何度も新しい期待につなげていないか

地方でのサロン経営と高い売上を案内する投稿は、一度だけではありません。同じ内容の広告が、次の日付で繰り返されています。

投稿の日付繰り返された案内
2023年6月28日地方でも高い売上を上げるサロンがあるとして、技術を学ぶよう勧める内容。
2023年8月17日同じ趣旨の画像と売上例を用いた案内。
2023年11月2日同じ趣旨の画像と売上例を用いた案内。
2023年12月23日同じ趣旨の画像と売上例を用いた案内。
2024年2月17日同じ趣旨の画像と売上例を用いた案内。

同じ広告を繰り返すだけで、売上例が虚偽だと決まるわけではありません。しかし、受講を検討する人には、毎回別の成功者が現れているような印象を与える可能性があります。どの時期の、どの実績を繰り返して紹介しているのか。過去の一例を使うのであれば、そのことが分かる形で説明すべきではないでしょうか。

年収の虚偽申告を促すローン案内に疑問を持つ私たちにとって、広告だけは無条件に信用してよいとは思えません。申込みを増やすために都合のよい数字を使っていないか、受講者の将来像を実際より有利に見せていないか。売上を強調するほど、その根拠を確かめたいという思いは強くなります。

BELLENの施術写真は、何件の実績を示しているのか

小顔矯正専門サロンBELLEN(ベレン)の施術例でも、2021年の比較写真が、その後の投稿に繰り返し使われています。私たちが問題にしているのは、次の三つの投稿の関係です。

  • 2021年9月22日:施術前後の比較写真を使った投稿。
  • 2023年6月7日:同じ写真を使い、施術の特徴を案内した投稿。
  • 2024年2月2日:2023年6月7日と写真だけでなく説明内容も同じ投稿。2021年の投稿とも、編集を含め同じ写真が使われています。

新しい日付で施術例が流れてくると、さまざまな顧客への実績が積み重なっているように感じます。ところが、同じ写真を繰り返しているのであれば、それぞれ別の施術実績として数えることはできません。どの写真がいつの施術で、再紹介なのか新しい例なのかを分かるようにしてほしいのです。

高額なローン契約の獲得を優先する一方で、施術の実績や新たなビフォーアフターの撮影は十分に蓄積されていなかったのではないか、という疑問も残ります。また、異なる施術例として扱われる写真について、同じモデルを用いているのではないかという疑念もあります。写真だけで人物の同一性やモデル契約、実際の施術件数を断定することはできません。だからこそ、広告を出す側の説明が必要なのです。

私たちが求めるのは、写真に写る人の個人情報ではありません。実際の施術例なのか、同じ事例を何度使っているのか、どれだけの実績をもとに技術の習得や開業を勧めているのかという説明です。技術を信じて契約する人に、見た目の印象だけで判断させてほしくありません。

高額なショッピングローンを使う小顔の事業は、美骨小顔協会だけに見られるものではありません。株式会社日本美容整骨学院の和田浩幸氏と、一般社団法人日本美容整骨協会の兼國治郎(兼国慈陵)氏は、2012年ごろから美容整骨の分野で学院と協会を運営してきました。美容のために整骨を活用する分野を国内で初めて築いたと打ち出し、技術や資格を学ぶ人を集める事業です。

兼國氏らは小顔の店舗を商業施設へ広げ、信販会社のローンを使えるようにして高額な契約を販売してきました。SNSによる集客、スクールでの技術や民間資格の販売、サロンの運営、ショッピングローンという組合せは、美骨小顔協会の事業にも見られます。

さらに、信販会社に実際と異なる年収などを申告させる手法が似ているという訴えがあります。組合には、兼國氏と和田氏が川崎氏の事業に関わり、以前の仕組みを引き継がせているのではないかという情報も寄せられています。私たちは、その関係を明らかにしてほしいと思います。単に同じ業界だから似ているのか、勧誘やローンの運用を共有していたのかでは、問題の広がりが違うからです。

美容整骨、コガオ神、美骨小顔という名称も、契約する側には紛らわしく見えます。ただし、名前が似ていることだけで同じ会社だと決めることはできません。資本関係、業務委託、指導や助言、収益の配分にどのような関係があったのかを示してほしいのです。広告の印象だけで結びつけるのでも、法人が違うというだけで問いを閉じるのでもなく、実際の関わりを説明することを求めます。

倒産前の長期契約と、店舗をよく見せるための売上づくり

兼國氏が代表を務めた店舗運営会社KOGAOは、2022年9月2日に破産手続開始決定を受けています。ここで破産した店舗会社と、学院や協会は別法人です。私たちが問うのは、倒産前の店舗事業で使われた手法が、その後の別法人の事業に引き継がれていないかということです。

元従業員らから組合に寄せられた情報には、事業の継続が危ぶまれる段階でも、1年間の通い放題など長期間の利用を前提とする契約を販売していたという訴えがあります。倒産することが分かっていたのではないかという疑念もあります。もしサービスを提供し続ける見通しがないまま長期契約を売っていたのなら、顧客が引き受ける損失をどう考えていたのでしょうか。

店舗が入る商業施設との契約により、すぐに退店や解約ができない場合に、優秀なスタッフをその店に集め、一時的に売上を伸ばして優良店舗に見せようとしたという情報もあります。売上の数字だけを見れば成績のよい店でも、それが持続できる営業だったのかは別の問題です。そこで働く人や取引先が、経営の実情をどこまで知らされていたのかが問われます。

申込者、顧客、取引先に実態と異なる情報を伝え、破産前に身近な関係者へ資金が集まる仕組みを作っていたのではないかという訴えもあります。私たちは、これらを疑惑のまま放置せず、当時の契約、販売期間、売上、人員配置、資金の流れに沿って説明してほしいと思います。経営側がいつ倒産の可能性を認識したかや、不正な意図の有無まで、訴えだけで確定するものではありません。しかし、具体的な疑問には具体的な記録で答える必要があります。

看板が変わっても、同じ負担を繰り返させたくありません

ショッピングローンを使った高額契約と、年収を多く書くよう求める案内。その手法が、美骨小顔協会でも繰り返されているのではないかという声がある以上、私たちは関係を問い続けます。以前の事業に残った問題が解決しないまま、名称や発信者だけが変わって、新たな受講者に同じ負担を負わせることがあってはなりません。

広告は契約する前の判断材料です。契約する人には、成功例の根拠も、必要な費用も、運営する法人同士の関係も知る必要があります。受講後に売上が出ないことを本人の努力不足だけにし、返済が重くなれば本人の申込みだからと片づけるのであれば、事業者に都合のよい仕組みです。

  • 売上例について、対象店舗、時期、広告費や運営費を含む根拠を示してください。
  • 施術写真について、過去の事例の再紹介と、新たな実績を区別してください。
  • 美骨小顔協会と、兼國氏・和田氏、学院・協会との関係を説明してください。
  • 年収等の虚偽申告を促す案内を誰が決め、どの範囲で行っていたのか明らかにしてください。
  • 事業を終えたとき、顧客、受講者、従業員、取引先にどの負担が残り、どう対応したのか示してください。

私たちは、これ以上、学びたい人や働く人が同じことで苦しまないように声を上げています。美骨小顔協会をめぐる被害だけでなく、高額契約を支えるために現場へ無理を押しつける働かせ方も見過ごせません。広告の印象ではなく、契約と事業の実態に基づいた説明を求め続けます。