小顔矯正の技術を学びたい、自分のサロンを持ちたい。その希望に向けて結ぶはずの契約が、どうして年収の虚偽申告や、解約を求めても応じてもらえない問題につながったのでしょうか。私たちは、一般社団法人美骨小顔協会のスクールをめぐる被害を訴える立場から、川崎美和(下寺美和)氏と協会に、勧誘からローン申込み、解約に至る対応の説明を求めます。
問題の中心は、受講料が高いということだけではありません。受講を急がせる案内と、返済能力を実際より大きく見せるよう求める指示が組み合わされていたことです。学びへの希望を利用して契約を成立させ、負担や不安は受講者に残す。こうしたやり方を、申込者の自己責任だけで終わらせてほしくありません。
川崎美和(下寺美和)氏と美骨小顔協会の責任を明確にしてほしい
問題となったスクールの運営主体は、川崎美和(下寺美和)氏が代表理事を務める一般社団法人美骨小顔協会です。法人番号は3120005022990。2024年当時の所在地は大阪市北区梅田1丁目1番3号、大阪駅前第3ビル29階1-1-1号室でした。2023年1月には北堀江から梅田への所在地変更があり、梅田の拠点についてはバーチャルオフィスではないかという疑問もあります。
一方、小顔矯正専門サロンBELLEN(ベレン)は、大阪市西区北堀江1丁目22番4号1001で運営されていました。ローン契約書には、加盟店の本社として美骨小顔協会、店舗としてエステサロンベレンが記載され、両方に北堀江の住所が使われています。登記の住所と店舗の住所が違うこと自体を問題にしているのではありません。契約を勧め、受講料を受け取り、解約に対応すべき相手が誰なのかを、受講者に分かるようにしてほしいのです。
代表者がブログや動画、SNSで熱心に発信し、一般社団法人の名称でスクールを案内していても、それだけで契約の安全性が保証されるわけではありません。受講者に大きな支払いを求める以上、運営する側には、勧誘の方法と契約後の対応について具体的に答える責任があると私たちは考えます。
公式LINEと無料勉強会から、当日中の契約へ
スクールには認定プロコースと認定講師コースが用意され、公式LINEを入口に申込みを集める流れでした。LINE登録後は、川崎氏のブログや動画が順序立てて届き、無料の勉強会へ誘導され、そこから有料講座の案内へ進みます。技術や働き方に関心を持った人の期待を高めながら、契約に結びつける仕組みです。
無料で説明を聞くことや、LINEで講座を案内すること自体に異議があるわけではありません。私たちが問題にするのは、その後、十分に考える時間がないまま高額な契約を決めるよう促す過程です。説明会に参加した日の21時までを特典動画付き早割の期限とし、その日のうちに決断するよう重ねて案内が送られていました。
早割のメッセージは一斉送信され、すでに申込みを終えた人にも届いています。それと個別の連絡を使い分け、料金への不安に対しては、人生を変えるために行動するよう背中を押す説明が続きます。しかし、高額な支払いを引き受ける判断と、学びたいという気持ちは同じではありません。通学できるか、生活費と両立するか、受講できなくなったらどうなるかを考える時間が必要です。
なぜ年収と預貯金を多く書くよう指示したのか
ローン申込みのやり取りで、最も見過ごせないのが、年収と預貯金の数字を増やすよう求める案内です。LINEでの指示は、申込者から事情を聞いて支払い方法を考え直すという内容ではありませんでした。申請登録の完了を知らせる段階から、審査を通しやすくするための対応として組み込まれていたのです。
| 申込みの段階 | 受講希望者に求められたこと |
|---|---|
| ローン申請の登録後 | 届いたメールから当日中に本人情報を登録するよう求めたうえで、本人年収と任意の預貯金欄を多めに入力するよう案内。収入の証拠を示す必要はないとも説明していました。 |
| 専業主婦として申し込む場合 | 世帯年収や預貯金についても、多めの金額を記入してよいと案内していました。 |
| 審査が可決しなかった後 | 再審査できる状態にしたうえで、預貯金欄を300万円などに増やして入力し直すよう依頼。審査基準は分からず、可決の保証はできないとも付け加えていました。 |
| 翌日の事務局からの連絡 | 預貯金額を増やす変更が反映されていないとして、保存や登録の状況を確認するよう求めていました。 |
実際に返済できる金額を一緒に考えるのであれば、審査が通らなかった時点で契約を立ち止まって検討するはずです。それなのに、預貯金を増やした形で再び申し込ませ、その反映まで確認する。私たちは、この対応に強い疑問を持っています。受講希望者が信じて従った結果、申告の責任と長期の支払いだけを負うことになってはなりません。
年収等を実際より多く書かせる指示は、たとえ一人への個別対応でも重大です。さらに、申請登録時の案内に含まれていることから、一度の行き違いではなく、契約を獲得する手順として繰り返されていたのではないかと私たちは疑っています。誰が指示を決め、誰が送信し、どの範囲の申込者に使っていたのか。協会には、対象者と運用の全体を説明してほしいのです。
詐欺の教唆という疑いを、曖昧な説明で終わらせないでほしい
信販会社の審査を通すために虚偽の数字を書かせる問題は、刑法246条の詐欺や61条の教唆、申込書の作成方法によっては159条の私文書偽造等との関係も問われる内容です。私たちは、申込者に何をさせようとしていたのかという点を、単なる営業上の助言として片づけることに反対します。
個々の犯罪が成立するかどうかは、実際の記入内容、書面の作成方法、関係者の認識などによって判断される問題です。それでも、受講者側から見た責任の問いは残ります。実際と異なる申告を促す必要のある契約を、なぜ安全であるかのように勧めたのでしょうか。審査に通りさえすればよいという発想で、受講者の生活を扱ってほしくありません。
73万円の早割でも、ローンの支払総額は94万5,496円
講座は通常価格90万円、特典動画付きの早期割引価格73万円と案内されていました。しかし、ローン契約の一例では、値引き欄は0円で、分割払いの手数料を加えた支払総額は通常価格の90万円を上回っています。
| 契約の項目 | 金額・回数 |
|---|---|
| スクール代金・ローン申込額 | 730,000円 |
| 値引き額 | 0円 |
| 分割払い手数料 | 215,496円 |
| 支払総額 | 945,496円 |
| 支払回数と月々の金額 | 36回。初回28,496円、その後26,200円を35回。 |
一括で払える人にとっての講座価格と、ローンを使わなければ申し込めない人の負担は違います。73万円という案内だけで判断できる契約ではありません。私たちに必要なのは、安くなるという言葉だけでなく、3年間の支払いと手数料を含めた説明です。
無料勉強会が頻繁に開かれ、申込みの有無にかかわらず早割の案内が届き、通常価格との差として見えるのは主に特典動画の有無です。そこに、値引き欄0円という契約内容が重なります。実際には動画付き73万円のコースが通常の販売形態で、90万円という価格は契約を急がせるための比較に使われていたのではないか。この疑問に答えてほしいと思います。
景品表示法5条が問題とする、実際より著しく優れた内容や有利な条件だと受け取らせる表示との関係も無視できません。値引き欄だけで違法性を決めることはできませんが、通常価格での販売実績、早割の実施期間、特典の違いを示せば説明できるはずです。高額なローンの申込みを促す側こそ、価格の根拠を明らかにするべきです。
妊娠と事故で通学できなくなった受講者への対応
被害を訴えて組合に相談した受講者の一人は、妊娠に加えて不慮の事故に遭い、地方から大阪へ通学することが難しくなりました。協会に解約を相談しても取り合ってもらえず、書面で繰り返し通知しても対応が進まなかったと訴えています。その後、信販会社に相談すると、解約手続きが進みました。
私たちは、この経緯を、最後には解約できたからよかったという話にしてほしくありません。妊娠中に事故も重なり、通学と支払いの不安を抱えた受講者が、なぜ何度も意思を伝え続けなければならなかったのでしょうか。返答を待つ間のストレスや生活への影響は、契約の終了だけで消えるものではありません。
信販会社による加盟店調査を懸念して対応したのではないかという疑念も残ります。その動機まで断定することはできませんが、受講者からの申し出には進まなかった対応が、取引先への相談を境に進んだ理由は説明してほしいと思います。立場の弱い一人の声にも、事業上重要な取引先からの連絡と同じように向き合うべきではないでしょうか。
クーリングオフ・中途解約と、働く人の生活を切り離さないでほしい
高額なスクール契約のクーリングオフや中途解約は、単なる事務処理ではありません。生活の立て直しや、これからの働き方に直結します。資格や技術を身につけるための契約で、生活そのものが苦しくなる状況を放置してほしくありません。
一般社団法人の名称や民間資格を使いながら高額講座を販売する事業では、受講者だけでなく、サロンで働く人も不利益を受けるおそれがあります。資格取得への期待を利用して不利な条件に縛ること、無理な契約獲得を現場のスタッフに負わせること、劣悪な労働環境を我慢させることは、互いに無関係な問題ではありません。BELLENの施術契約についても、同様の勧誘が広がっていないか、私たちは懸念しています。
ビッグモーターの保険金不正請求をめぐり、金融庁が損害保険ジャパンを立入検査した問題では、販売やサービスを行う側と金融取引を支える側の関係が問われました。美容業界でも、スクールやサロンの売上を信販契約が支える以上、加盟店の勧誘と審査を別々の話として済ませてよいのかという問いがあります。同じ不正な関係があると断定するのではなく、小規模な事業でも各地で同様の勧誘が繰り返されれば、被害は広く生活に及ぶという懸念です。
私たちは、美骨小顔協会に、虚偽申告の指示の範囲と責任者、早割価格の根拠、ローン総額の説明、解約を求めた人への対応を具体的に示すよう求めます。技術を学びたいという思いも、働いて暮らしていくためのお金も、軽く扱われてよいものではありません。同じ不安を抱える受講者や現場の労働者が、声を上げることを諦めなくて済むように、この問題を問い続けます。